「既存を活かし、価値を更新する」
既存建物の構造を活かしながら、外観・内観ともに全面的に再構築。無駄を削ぎ落としたフラットなフォルムと、縦ラインの陰影が際立つ外壁により、シンプルでありながら存在感のある佇まいへと刷新しました。開口部は必要最小限に抑えつつ、光の取り込みとプライバシーのバランスを精査し、夕景には内部のあたたかな光が外へ滲み出すことで、昼とは異なる豊かな表情を生み出します。玄関周りには木質のアクセントと格子を取り入れ、無機質な外観の中に素材の温もりと奥行きを付加。内部はスケルトンに近い状態から再構成し、構造体そのものをデザインとして取り込んだ空間へと再編集。黒の鉄骨フレームとウォールナットの床材が織りなす無機質と有機質のコントラストを軸に、吹抜けを中心とした立体的な構成により、上下階が緩やかにつながる開放的な住環境を実現しました。高窓から差し込む自然光は時間帯によって異なる陰影を生み、空間に奥行きと表情を与えます。階段や手摺には軽やかなスチール素材を採用し、視線の抜けと空間の連続性を確保。さらに、スポット照明と間接照明を組み合わせることで、素材の質感を引き立てながら落ち着いた雰囲気を演出しています。キッチンや廻りは空間全体のトーンに合わせたミニマルなデザインとし、生活感を抑えながらも機能性と使いやすさを確保しました。
単なる改修にとどまらず、建物のポテンシャルを再定義し、構造・素材・光を再編集することで、現代のライフスタイルに適応した空間へ。新築にはない深みと、時間を重ねることでさらに価値が増していく住まいへと生まれ変わりました。
設計:伊串建築設計事務所